WORKERS STYLE vol.9
ヘリテージパンツは完成していない。
ワークウェアとは、現場で履かれて働いて、初めてワークウェアとしての本来の意味・価値が伴う。着る人が自分の癖や働き方、思想を反映させるためのツールのような存在。ワーカーが自分の働くスタイルに合わせてカスタマイズし、それぞれのライフスタイルや価値観を表現していくアイテム。着る人の使い方やこだわりによって、ワークウェアは初めて「完成」されていく。このパンツがどんな風にその人にとっての欠かせない自己表現になるのか。ヘリテージパンツを通して、様々なワーカーにスポットをあてていく。
湯浅誠
1992年、東京生まれ。オーストラリアの大学を卒業後、帰国して電気工事士としてキャリアをスタート。住宅や商業施設の配線を手がけながら、さらに腕を磨いている。将来的にはオーストラリアでの永住権取得を目指している。
Johnny
彼と初めて会ったのは、僕が初めてバイトで入ったアパレルの売り場だった。
その時の彼は、場違いそのものだった。
フォーマルな空間の中で、ドカジュアルな装い。スーツのコーナーにビーサン。
髪は無造作に伸び、格好もどこか風に吹かれる、ヒッピーのようだった。
けれど、不思議と目を奪われた。
まるで、そこに「違和感」という風穴を開けるために現れたような存在感。スタイルがあるってかっこいいな、の僕の先駆け的存在。
そんな彼の話。
STYLE:電気配線技師
――本当に久しいですね、何年ぶりだろう。今日は改めて色々聞かせてください。
湯浅:久しぶり!楽しみにしてたよ。なんでも聞いて。
――シンプルな疑問だったんですけども、なぜ電気工事士だったんですか?知り合ったときはアパレルだったので。
湯浅:もともとオーストラリアで大学を出た後、永住権が欲しかったんだよね。でも、手に職がないと厳しいって気づいて。それで昔取っていた電気工事士の資格を活かすことにしたんだ。日本に帰って奄美で修行を始めて、気づいたらこの仕事にどっぷり。絶対にアパレルがいいていうわけでは無いんだ。
――永住権をきっかけにしたのは意外でした。電気配線技師って海外でも通用する資格なんですね。
湯浅:そうだよね(笑)。でも、電気配線技師ってどこでも需要があるんだよ。世界中どこでも暗いところに明かりを灯せる仕事だし、何よりそれが人の生活を支えていると思うとやりがいがすごい。お客さんがスイッチを入れて明かりがつく瞬間、すごく嬉しそうな顔をしてくれるんだよね。それを見ると「ああ、この仕事選んでよかったな」って思うね。
必要、不可欠
――作業に欠かせない道具について教えてください。
湯浅:絶対に欠かせないのは、ペンチ、ニッパー、ドライバー。この3つがないと始まらないね。特に配線を剥がすニッパーと、しっかり留めるドライバーは毎日使う道具。現場では、これらを使いながら、従業員同士で確認し合うことが大事。一瞬のミスが大事故につながるから、慎重に作業するね。後はベルトかな、取りやすさとか。
――ベルトは確かに大事ですね。こだわりもありますか?
湯浅:もちろん。こだわりがないと何事もうまくいかないし、明かりは灯せない。一瞬の判断ミスで壊れることもあるから、本当に大切に使ってるね。道具は、自分の手の延長みたいなものだから、手入れもこまめにやる。さっき言った3つは別々のブランドを使い分けてるね。
服、ヘリテージパンツ
――働くときの服装選びで意識していることはありますか?
湯浅:まず、とにかく頑丈であること。それからポケットが多くて、柔軟性があることも重要だね。現場だと工具をポケットに入れることが多いから、しっかり収まる深さや数があると助かるなぁ。作業着ってどうしても破れるものだから、破れにくい物が嬉しいね。
――ヘリテージパンツを履いてみてどうでした?
湯浅:めちゃくちゃ良いよ。まず、生地が丈夫で安心感があるし、ポケットも多くて重宝してる。実際に現場でも履いたんだけどタフさがいいなぁ。しゃがむことが多いから、膝部分にパッドを入れられる仕様があれば、さらに良くなるかなって思うね。まあファッションだと思うと少し難しいかもだけど。
安全とワークウェアと
――湯浅くんにとって、ワークウェアとはどんな存在ですか?
湯浅:うーん、仕事の「相棒」だね。現場って危険と隣り合わせだし、安全性を考えると服装はとても大事だね。頑丈さはもちろん、動きやすさや清潔感も気を使ってる。ヘリテージパンツは、そういう意味で信頼できるアイテムだと思います。
――安全性への意識は大事ですよね。
湯浅:本当にそうなんだよね。一人のミスが大事故につながる現場だから、服装も道具も「人の命を守るもの」という意識。ヘリテージパンツもその一環で、丈夫で頼りになる相棒だと思うね。
記録
暗い場所に明かりを灯す仕事。それは、ただの配線作業ではなく、人々の暮らしを支える基盤を作ること。彼の仕事には、その誇りと責任感が滲んでいる。
彼が選ぶ道具やワークウェアには、危険な現場でも安全に作業を続けるためのこだわりが詰まっている。ヘリテージパンツは、そんな彼の働き方に自然に溶け込み、仕事の「相棒」として頼れる存在だ。
「将来はオーストラリアに戻って、もっと大きな現場を手掛けたい」――彼の視線は遠く、次に灯す明かりの先を見据えている。その旅路で、ヘリテージパンツは彼の道を支える重要なピースになる。
「世界中どこでも通用する技術を持ちたい」――それは彼が電気工事士を選んだ理由だ。
オーストラリアの大学を卒業した彼は、手に職をつけるために日本に戻り、修行を重ねてきた。
「電気を通す」という作業。その向こうにあるのは、人々の暮らしを支える明かりだ。それをつなぐ仕事には、確かな手ごたえがある。今、彼は危険と隣り合わせの現場で、確実に「未来」を照らしている。